◇1年目からいきなり子どもを伸ばすために,2冊の本を紹介します。
1冊目は,「20代でプロの教師になれる」(学事出版)です。
本書は,2015年3月に,リニューアル版が発刊されます。
リニューアル版の名前は,次の通りです。
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「大前流教師道 夢をもちつづけることで教師は成長する」
(学事出版)
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◇さて,「プロの条件」とは何でしょうか。
様々な条件がありますが,たった一つに絞るなら,次のように考えています。
「教室の子どもを一人残らず,全員をできるようにしてやること」
8割の子どもに,力をつけることは,比較的簡単です。
教師としてのチカラが未熟でも,それなりにできる子を伸ばすことはできます。
難しいのは,残った2割の子をできるようにすることなのです。
例えば,水泳。
子どもに,25mを泳ぐ力をつけるとします。
8割の子に,25mの力をつけるなら,教師の「普通の努力」で,何とかなるでしょう。
ところが,残った水泳嫌いの2割の子に力をつけるのが大変なのです。
ある子は,水泳が嫌いだからと,水着を忘れてプールに入らない・・・。
別の子は,水に入ることすら嫌がっている・・・。
運動が極度に苦手な子もいます。
クラスに40人いれば,様々な子がいます。
教師の仕事は,『子どもの可能性を引き出し,伸ばす』ことだと考えています。
その40人全員の「可能性を引き出し,伸ばす」ことができるかどうかが,プロとアマの違いだと考えています。
◇拙著『20代でプロの教師になれる』は,新卒教師が20代でプロの教師としてのチカラを身に付けるまでの筋道を示した本です。
残念ながら,新卒教師はペーパードライバー以下の実力しかないのが実情です。
というより,「自分はペーパードライバー以下なのだ」と自覚することから教師としての修業はスタートするのだと思います。
学級で起きる数々のトラブルは,実は自分の力量がないことの反映なのだと考えています。
プロの教師に共通しているのは,「教師としての力量が高い」+「人間性がすばらしい」ということの2つが挙げられます。
本書では,具体的に,どういう努力をすれば良いのかを,8つの条件として示しました。
そして,8つの条件に対し,どのような努力をすればよいのか?
その答えを,
実践で示しています。
若い未熟な教師が,プロとしての力量を身に付けるまでの一つの筋道です。
力量をあげたい方の一つの参考になれば幸いです。
◇2冊目の本は,「若い教師の成功術」(学陽書房)です。
新卒教師が,新卒1年目の余計な失敗を回避するには,失敗例を数多く知ることが大切です。
残念ながら,そんな本は皆無です。
それはそうです。 誰もが失敗の記録を残したくないですから。
拙著 「若い教師の成功術」(学陽書房) は,失敗例を記している希有な書物です。
本書では,新卒から5年目までの教師生活を描写しています。
私の教師生活は,学級を立て直すことから始まりました。
1年目に,学級崩壊した子どもたちを受けもちました。
2年目と3年目には,さらに深刻な学級崩壊を経験している子どもたちを受けもちました。
チカラのない私には,過酷な日々が待っていました。
どうやって,子どもたちを変えればよいのか模索する毎日でした。
◇・・・
ところが,ある努力をしたおかげで,過酷だった教師生活は,一変します。
不登校だった子どもは学校に来るようになりました。
特別支援を要する子が,授業で活躍するようになりました。
1年間を終えての保護者会。ある保護者は,涙を流しながら,感謝の言葉を述べられました。
新卒当時,私はチカラのない教師でした。
そんなチカラのない教師でも,努力の方向性さえ間違えなければ,子どもを伸ばしていけることがわかったのです。
本書には,若手ならではの失敗談が数多く出てきます。
日記風にエピソードを紹介した本です。
なので,そのときの情景が今も思い出され,赤面してしまいます。
本来なら,自分の若い頃の失敗を隠したいのですが,自分の未熟を乗り越えていくためにも,本の形にしたのです。
本当は,あまり読んでもらいたくないのです。
教室で起きたエピソードをたっぷりと紹介しているので,初めて現場に出る方でも,イメージをもって読んで頂けると思います。