◇新採用教員,新卒教員の中には,敏感な人もいれば,鈍感な人もいます。
教室の荒れの兆候に気付く人と,気付かない人がいるわけです。
例えば,窓ガラスが割れる,という現象。
時々,教室のガラスが割れるのです。
子どもがわざとやっているわけではありません。 でも,なぜだか,ガラスが割れます。
花瓶が割れることもあります。
教卓のセロハンテープが落ちて,割れることもあります。
なぜか,教室に置いてあるものが,割れたり壊れたりするのです。
子どもがわざとやっているようにも見えませんし,実際わざとやっているわけではないのに,です。
◇子どもはわざとやっているのではないから,別に気にしない。
これが,普通の新卒教師の感覚と思います。
ゴミが学級にたくさんあっても,あまり気にしません。
くつが靴箱にきちんと入っていなくても,「たまたまだろう。」,「その子の問題だからな」などと気になりません。
まあ,このあたり,普通に過ごしていれば,ひょっとしたら,意識にものぼらないかもしれません。
◇ところが,職員会議で,データが出てきます。
割れ物のために予算をつかっている割合が,圧倒的に自分のクラスだけが多いというデータです。
ここで,はたと気付きます。
なぜ,自分のクラスだけ,よく物が壊れるのだろう?と。
ここで気付くことができれば,よいのです。
問題は実は自分にあったのだと分かります。
簡単に言えば,学級の荒れの兆候が,様々な形で噴出しているのは,自分の鈍感さのせいなのです。
◇荒れの兆候を敏感に感じ取っている先生と,気付かない先生とに分かれるわけです。
荒れの兆候を見つけたら,自分の指導の至らなさに気付き,すぐに自分を改善し,手を打っていくのです。
教室にごみが落ちていたら,またとない指導のチャンスです。
割れ物が多いなら,やはり指導のチャンスです。
くつがそろっていないのも,指導のチャンスです。
こういった,小さな出来事を,自分の力量を上げるための場であり,重要な指導場面なのだと,敏感に感じ取れるかどうか,で,今後伸びるかどうか決まります。
◇荒れの兆候には,いくつか典型的なものがあります。
代表は,「人の物を隠したり,粗末に扱ったりすること」です。
例えば,上靴を隠したり,カッターで切ったりするわけです。
上靴は,大昔から言われている,「荒れのバロメーター」です。
えらそうなことを言おうが,いくら評判がよかろうが,上靴が隠されたり,切られたりしているクラスは,荒れているクラスと言われても仕方ありません。
毎年のように,上靴が隠されるクラスがあります。担任は自分の責任と思っていないから,次の年も,なぜかその担任のクラスでは,上靴が隠されます。
毎年,毎年,よく同じことが同じ時期に起きるというぐらい,繰り返されるのです。
いつか,気付くべきなのです。自分だけなぜ,こんなにクラスでよく物が粗末にされるのだろう,と。
◇自分の学級の荒れに気付いたときが,指導のスタートです。
それを自分自身の責任だったのかと思えるかどうか,です。
実は,荒れに気付かないようでは,指導はスタートすらしないわけです。
若い教師は,良いクラスと悪いクラスとの基準がまだよくわかっていません。
これを自覚すべきです。
良いクラスは,不思議と,割れ物も少ないのです。
くつもそろっているのです。
がみがみ言わなくても,自然と,そうなのです。
力量を高める努力をすることなしには,根本的な解決はしません。
また,今年も靴隠しがあったという結果になるだけです。かわいそうなのは子どもたちです。
若い教師ほど,今の学級の状態を判断するバロメーターを,いくつか知っておくべきです。