◇若い教師が,新しい学校に赴任します。
4月最初,子どもたちは,教師の言うことを素直に聞きます。
おかしいと感じ始めるのは,5月からです。
子どもが,教師の言うことを聞かなくなるのです。
言うことを聞かないどころか,ルールを破る子もいます。
マナーを破る子もいます。
これはいったいなぜなのでしょうか。
◇4月は緊張していた子どもたち。
5月になれば,学校生活に慣れてきます。
慣れてきたので,ちょっとぐらいはみ出た行動をしてみたくなっているのです。
特に,学校全体に,荒れの兆候があるような場合,
学級の子どもたちは,そちらの荒れの雰囲気の方に引きずられるということもあります。
水は,低きに流れるがごとく,だんだんとルール違反,マナー違反,そして,教師の言うことを聞かなくなってくるのです。
◇5月になってだんだん子どもが言うことを聞かなくなったとか,
失礼な態度を示すようになったとか,
こういったことは,若い教師はけっこう悩みます。
いったい,自分の指導のどこが悪かったのかと。
◇では,こうならないためにどうすればよいのでしょうか。
ここで,教師の姿勢が問題となります。
教師として生活するためには,知っておかなくてはならない心の構えというものがあるのです。
◇学級担任として子どもたちを率いるなら,次の二つが必要になります。
一つ目は,「子どもからの信頼」です。
これは,若い先生は,若いというだけで,うまく子どもとつながることができます。
誠意をもって,差別をせずに,一生懸命指導していれば,それだけで「信頼」は得ることができます。
もう一つを忘れがちなのです。
これを忘れているから,子どもの荒れに振り回されて,心身共にボロボロになってしまうのです。
1日を終えて,家に着いたらぐったり,といった感じなるのです。
◇そのもう一つの条件は,拙著で詳しく解説しました。
①「必ず成功する!学級づくりスタートダッシュ」
②「若い教師がぶつかる「壁」を乗り越える指導法!」
この2冊です。
本を読み,準備をしておくと,5月になっても,子どもが荒れないようにすることができます。
ただ,本も読まず,のんべんだらりと4月を過ごすと,待っているのは,子どもの荒れです。
子どもの荒れが,雪だるま式にひどくなってきます。
たった1週間後,2週間後に,子どもが教師を蹴ったり,暴言をはいたりするようになるのです。
何度も悲惨な状態になる学級を見て,いたたまれない気持ちになったことがあります。
◇このあたり,拙著で詳しく解説しているのですが,まだまだ教員養成段階で教えられているとは言いがたい状況です。
教員養成でこそ,教師の資質の中身について教えないといけないと思います。
心構えの指導は,ほとんどなされていないのが現状です。
◇先日,明治図書の拙著が増刷となりました。
「スペシャリスト直伝! 板書づくり成功の極意」(明治図書)
「プロ教師の「子どもを伸ばす」極意―学級&授業づくりマスターBOOK 」(明治図書)
この2冊が増刷の運びとなりました。
ちなみに,教師に必要な資質は,「プロ教師の「子どもを伸ばす」極意―学級&授業づくりマスターBOOK 」(明治図書)に解説しています。
これからは,大学生が,教師としての基本的な資質を大学で学び,そして,大学生のうちに身につけていくといった大学のあり方が模索されることだと思います。