◇来年度も,多くの新卒教師の方々が赴任されてくるそうです。
全国的に,たくさんの人が採用されています。
今,学生さんは,卒業論文に向けて,努力を重ねていることと思います。
◇4月になれば,学生生活は終わります。
そして,夢にまで見た教師の世界が始まります。
子どもたちは,新しい教師に期待を寄せています。
キラキラと輝く子どもの姿に心打たれ,新卒教師は,思います。
「子どもは無限の可能性に満ちている。」
「その可能性を引き出すのは,自分しかいない。」
「とにかく,がむしゃらにやっていこう。」
そして,騒々しくも華々しく教師生活の幕が開きます。
◇4月。
一か月が経った頃にふと思います。
「どうも,自分が考えてきた世界とは違うな」と。
三か月後。
夢大きく赴任してきた若い教師のほとんどすべてが,現場での洗礼を受けています。
洗礼とは,つまり,現場の厳しさのことです。
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実力がなければ,子どもの可能性を引き出すことなど及びもつかない
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クラスが荒れるのを食い止めるので,せいいっぱい。
そのような状況になっているのです。
◇多くの学生さんに,是非,自問してもらいたいのです。
自分は,どんな「教育技術」を知っていますか。
教育界では常識になりつつある,「跳び箱を跳ばせる方法」を3つぐらいすぐに言えますか。
水泳は必ず教えますが,25m泳ぐ上で必要となる3つの技能とは何ですか。
その3つの技能の中で,もっとも重要と言っていい最大のポイントは何ですか。
◇現在,大学では,ほとんど「教育技術」は教えられません。
そして,その「教育技術」を使いこなすための「技能」について教えられることは,皆無に等しいと言えるでしょう。
つまり,もしも,上の質問に答えられたとしても,それを使いこなせるかどうかは別の話です。
答えられて,30点。
使いこなせて,ようやく100点というところでしょうか。
ところが,「教育技術を知りもしない」という人が,ほぼ90%を超えていると思います。
◇衝撃的な調査結果があります。
2008年に,国立教育政策研究所が行った調査です。
経験5年目までの学級担任の90%以上が,理科の指導法について,自信がないと答えているのです。
◇現場で,教師としての力をつけるためには,のんべんだらりと生活していては無理です。
何らかの修業を課さないといけません。
ところが,新卒教師は,「どの方向へ頑張ったらよいのかわからない」状態なのです。
◇私は,古今東西の著名な方々の若いころの修業法を調べました。
そして,自分でも効果のある修業法をいろいろと試してみました。
10年目を迎える今,自分が試してきた修業法を集大成したいと考えていました。
タイミング良く,出版社の方に声をかけていただきました。
こうしてできあがったのが,
「教壇に立つのが楽しみになる修業術」(ひまわり社) です。
一人でも多くの,新卒教師の方に役に立つよう,願っています。
ようやくamazonでも注文が始まりました。
経験10年目ぐらいまでの教師の方にとっては,「一緒に現場を変えていきましょう」という連帯の書になると思っています。
経験15年目ぐらいまでの教師の方にとっては,「若手はこういう努力をしているのか」という参考になると思われます。
経験20年以上の方にとっては,「教室のドラマや教師の奮闘を読み物として楽しむ」という本になると思います。
新書「教壇に立つのが楽しみなる修業術」(ひまわり社)大前暁政著